外科的矯正治療
外科的矯正治療とは
-
外科矯正治療とは顎変形症など通常の矯正治療だけでは困難な骨格の不調和がある患者さんを外科手術を併用して治療する方法です。
咬合を治すことがメインですが、顔の非対称などのアンバランスも改善できます。また矯正治療によるリスクとして、矯正単独治療の場合と同様に、虫歯や歯肉炎、歯根の吸収(溶けて短くなること)、歯の壊死(神経が死ぬこと)、歯肉の退縮などがあります。外科手術の手術方法やリスクなどの詳しい解説は、顎変形症に対する外科的矯正治療神戸市立医療センター中央市民病院をご覧下さい。
-
顎変形症とは?
受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)といった上下のあごの骨が大きすぎたり逆に小さすぎる場合やあごのずれによって顔が左右非対称でゆがんでいるような症状がある病気です。
矯正治療、手術とも健康保険の適用となります。
対象となる主な症状
-
顎変形症(下顎前突)
上あごに対して、下あごが前方にある状態です。日本人で最も頻度の高い顎変形です。反対咬合がよくみられます。
-
顎変形症(上顎前突)
上あごが下あごに対して、過度に前方に位置する状態です。
治療の流れ
-
Flow01初診相談
通常の矯正治療以外に外科手術の説明をします。
-
Flow02検査
-
筋電図検査装置
-
下顎運動測定、記録、解析装置
通常の検査のほかに顎機能検査が必要です。
-
-
Flow03診断
通常の診断時の説明以外に外科手術の説明と保険適用の場合の支払い方法についてお伝えします。
-
Flow04治療
装置装着あるいは装置を作るための型をとり、術前矯正治療を始めていきます。
-
Flow05外科手術
外科手術によって骨格の改善を行います。
連携医療機関
神戸市立医療センター中央市民病院 歯科口腔外科、大阪歯科大学口腔外科学第二講座 -
Flow06治療
外科手術後、ある程度安定するのを待ってから術後矯正治療で仕上げを行います。
-
Flow07保定
リテーナー(保定装置)を装着し、噛み合わせが長期にわたり安定するように経過観察します。
当院でおこなった主な症例
外科的矯正治療①(受け口・下顎前突)
-
20代女性 受け口とあごのずれが気になり来院
下の歯が上の歯より前に出て前歯は咬めていません。左上の第2小臼歯は骨の中に埋まっています。
また下あごは左にずれています。顎変形症、下顎前突と診断しました。クォードヘリックスで上顎歯列を左右へ拡げた後、右上第1小臼歯を抜歯し、エッジワイズブラケットを付けて術前矯正を始めました。
骨の中に埋まっている左上の第2小臼歯は手術の時に抜いてもらいます。術前矯正が終わりました。一見きれいになったようですが下あごはまだ左にずれたままです。
手術を担当する口腔外科医と最終打ち合わせをします。手術時には必ずレントゲン上での計画(ペーパーサージェリー)と模型上でより具体的な計画を立てます。(モデルサージェリー)上あごは左へ2mm、前方へ2mm(Le Fort 1型)、下あごは右後方へ3.5mm、正面右へ3mm、左後方へ2.5mm(IVRO)、また顔のバランスをとるためあごの先を前方に5mm移動しました。(genioplasty)
手術が終わり、退院当日にできるだけ来院していただきます。この方は手術後13日目でした。
手術前に製作して渡しておいた装置(オルソサージカルスプリント)を入れ、ゴムをかけた状態できていただきます。術前矯正がうまくいったので術後矯正は微調整で済みました。
骨が固まり安定するまで待って装置をはずします。あごのずれもなくなり、バランスのとれた美しい口元になりました。咬み合わせも非常に良くなってご本人は大変満足されています。
治療期間は3年7か月です。症例情報
主訴 受け口とあごのずれが気になる 診断名あるいは主な症状 顎変形症、下顎前突 治療期間 3年7カ月 年齢 20代 治療に用いた主な装置 クォードヘリックス、オルソサージカルスプリント 抜歯部位 右上第1小臼歯を抜歯 治療費概算 270,000円(公的医療保険適用、高額療養費制度適用) リスク副作用 矯正治療には、う蝕や歯肉炎・歯周病、歯根吸収、歯肉退縮 などのリスクがあります。(リスク・副作用参照)
外科手術のリスクには、出血、腫れ、しびれ等がありますが、詳しくは顎変形症に対する外科的矯正治療神戸市立医療センター中央市民病院をご覧ください。 -
外科的矯正治療の症例②
-
外科的矯正治療その3 20代女性 受け口と前歯のデコボコが気になり来院
前歯がデコボコで下の歯が上の歯より前に出ています。
また下あごは少し左にずれています。
顎変形症、下顎前突と診断しました。
親知らず以外の歯は抜かずに治療することにしました。術前矯正が終了しました。
下の歯は左にずれています。
手術を担当する口腔外科医と最終打ち合わせをします。手術時には必ずレントゲン上での計画(ペーパーサージェリー)と模型上でより具体的な計画を立てます。(モデルサージェリー)
下あごを左は2.5mm、右は8mm後方へ移動します。(IVRO)手術が終わり、退院当日にできるだけ来院していただきます。
この方は手術後13日目でした。
手術前に製作して渡しておいた装置(オルソサージカルスプリント)を入れ、ゴムをかけた状態できていただきます。咬み合わせが不十分なところがあるためブラケットを付け代えて術後矯正をスタートしました。
術後矯正も終わり、そろそろ装置をはずします。
あごのずれもなくなり、バランスのとれた美しい口元になりました。
咬み合わせも非常に良くなってご本人は大変満足されています。
治療期間は3年11か月です。
ここまでの費用は、総額約32万円です。(公的医療保険が適用されています。これ以外に外科手術の費用がかかりますが、公的医療保険に加え高額療養費制度の適用になります。)症例情報
主訴 受け口と前歯のデコボコが気になり来院 診断名あるいは主な症状 顎変形症、下顎前突 治療期間 3年11カ月 年齢 20代 治療に用いた主な装置 クォードヘリックス、オルソサージカルスプリント 抜歯部位 親知らずのみ 治療費概算 320,000円(公的医療保険適用、高額療養費制度適用) リスク副作用 矯正治療には、う蝕や歯肉炎・歯周病、歯根吸収、歯肉退縮 などのリスクがあります。(リスク・副作用参照)
外科手術のリスクには、出血、腫れ、しびれ等がありますが、詳しくは顎変形症に対する外科的矯正治療神戸市立医療センター中央市民病院をご覧ください。 -