非抜歯矯正について

非抜歯矯正とは

矯正治療の際に、抜歯をして歯並びを整える「抜歯矯正」と、抜歯をせずに歯並びを整える「非抜歯矯正」とがあります。理想的には、抜歯を行わずに歯並びを整える方が良いでしょう。しかし、現実問題として外科治療を含めて顎骨の拡大を加味した場合でも、歯の収まるスペースが十分でないケースも想定されます。
当院では、可能な限り「抜歯を伴わない矯正治療」をご案内いたしますが、各患者さんの症状を確認させていただき、必要だと思われた場合には「抜歯矯正」をご提案することもございます。

歯を抜かないために
行う治療方法

矯正治療では健全な小臼歯を抜いてスペースを作り、歯並びをきれいにする方法がとられることがあります。
では小臼歯を抜く以外の方法でスペースを確保することはできないのでしょうか。それには以下の方法が考えられます。

  • 歯列を左右に拡げる

    1. 内側からクウォードへリックスという装置で左右に拡げます。

    2. ある程度拡がったら外側から ワイヤーで並べて行きます。

    3. きれいに並びました。

    注意点

    この方法はすべての方にできる訳ではありません。歯列の幅が狭い方が適応です。
    年齢の低い方が大きく拡大できる傾向にあります。

  • 奥歯を後ろへ動かす

    1. SMCという装置でまず第1大臼歯

    2. 今度は第2小臼歯です。 反作用を少なくするため、1本ずつ動かします。

    3. 左右の第2小臼歯まで動きました。

    4. 動かし終わった歯を止める装置に代えた後引き続き 第1小臼歯を動かしています。

    5. 右上犬歯の移動中です。 犬歯を動かし終わったら 次は前歯の移動になります。

    注意点

    この方法もすべての方にできる訳ではありません。後方にスペースがある方が適応です。
    また第2大臼歯がはえる前の方が移動が容易です。

  • 前歯を前方へ出す

    口元が引っ込んでいる方や前歯が後ろに下がっていたり、傾いている方が適応になります。
    それ以外の方にはできるだけ避けたい方法です。

  • 歯を削る

    歯の表面のエナメル質を削ってすきまを作る方法です。
    ディスキング、スレンダライジング、あるいはストリッピングと呼ばれ、すきまを作る以外にも後戻りを防ぐ手段のひとつとして矯正治療では用いられることがあります。

  • 小臼歯以外の歯を抜く

    第2大臼歯を抜く場合は、第3大臼歯(親知らず)を代わりに使うことが前提となります。

  • 患者さんのためになる治療を
    ご提供します

    以上非抜歯治療について説明しましたが、単に並べるだけでよいのならほとんどの方は小臼歯の抜歯をせずに可能だと思います。
    患者さんはデコボコがなくなったらきれいになったと思われるようですが、歯というのはもともと咬むためにあります。
    しっかりと咬めるためには犬歯から後ろの歯は上と下が互い違いに、同名の上の歯が下の歯より後ろで咬むのが原則です。
    また口元が出過ぎて口が閉じれなくなったり、咬みにくい、あるいは安定しないといった問題が生じてしまっても困ります。
    ですから上に記した方法で無理な場合はやはり小臼歯を抜歯する方法をとらせて頂いています。
    わたしは患者さんの望まれる治療よりも患者さんのためになる治療を提供できるよう心がけています。

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