子どもの矯正
子どもの矯正について

混合歯列期(乳歯と永久歯がある時期)や乳歯列期後期に始める治療法でその目的は永久歯がはえそろう前に顎骨や歯槽骨(歯が生えている周りの骨)、筋肉の不調和を改善し、お口の中の環境を整えることです。例えば出っ歯の場合、下顎の発育が悪く後退しているお子さんが多く見られます。
下顎の成長を促す治療をすることによって、歯並びや顔立ちが良くなるだけでなく、気道を拡げて呼吸に対しても良い環境を得ることができます。
早期治療には良い点がありますが欠点もあります。
それは長期間の治療が必要となることと患者さんの協力がなく、目的とした効果が得られない時はやはり抜歯が必要となることです。
また装置を長期間装着する関係上、大人の矯正以上に虫歯や歯肉炎になりやすくなるため注意深いケアーが必要です。永久歯が生え揃ってからの仕上げの段階では、大人の矯正と同様に、歯根の吸収(溶けて短くなること)、歯の壊死(神経が死ぬこと)、歯肉の退縮などのリスクがあります。
お子さんの歯並びで
お悩みはありませんか?
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出っ歯
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受け口、しゃくれ
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前歯が嚙み合わない
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歯がガタガタ
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歯が交差している
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歯と歯の間に隙間がある
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出っ歯
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当院における小臼歯抜歯の
年令別割合およその歴年齢 歯の状態 歯牙年齢 割合 6歳~8歳 前歯と第1大臼歯がはえている 3A 15.2% 9歳~11歳 前歯と第1大臼歯の間の歯がはえ代わり中 3B 42.9% 12歳~17歳 第2大臼歯がはえ始める 3C 56.9% 20歳~ Adult 72.7% このデータからわかることは開始が早いほど抜歯せずに治療できる可能性が高くなるということです。
早期治療を成功に導く秘けつはstep by stepつまり階段を一歩一歩昇っていくようにやるべき時期にやるべきことを確実にやっていくことです。
また治療が予定どうり進まない時は装置を代えたり、あるいは治療計画の変更が必要となることもあります。
治療が横道にそれるのをいち早く見つけるためには患者さんの記録を残しておくことが重要です。たとえば当院ではすべての患者さんに”主な症例”に示すようにポイント毎に歯の写真を撮っています。
そして1年~1年半毎に御本人、保護者の方にその写真をお見せしながら経過の説明を行っています。
MFT治療
(筋機能療法・お口の筋力トレーニング)について
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MFTとは口のまわりの筋肉(舌、口唇および顔面の筋肉など)を強くしてバランスを良くし、正しく機能させるためのプログラムです。歯並びとお口まわりの筋肉の動きはとても密接な関係にあるため、MFTによりあごや舌などお口まわりの筋肉の「正しい動き」ができるように導くことで矯正治療の効果が期待できます。
当院では、系統立てた筋機能訓練を個別で行い、正しい舌の動きや正しいお口まわりの筋肉の動きを習慣付けていきます。
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以下のような癖は歯並びに
影響します-
口呼吸
歯列の発達を妨げ、叢生や上顎前突、開咬の原因となります。また、気道が狭くなったり扁桃肥大の原因に繋がり、食べ物が飲み込みにくい、いびきなどの症状が出ることがあります。
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お口ぽかん
口呼吸を誘発し、歯ならび、かみ合わせが悪くなる原因となります。お口ぽかんは、前歯が前方にある場合だけでなく、アレルギーや扁桃肥大などが原因の可能性があるため耳鼻咽喉科への受診も必要です。
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おしゃぶりの長期使用・
指しゃぶり歯列の発達を妨げ、叢生や上顎前突、開咬の原因となります。
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唇を咬む癖
歯がガタガタになったり、すきっ歯など歯並びが悪くなる原因に繋がります。
重度だと、顎の成長に影響する場合があります。 -
舌癖・異常嚥下癖
舌の先の正しい位置は、上あごの前歯の内側にあるふくらみ部分です。ここをスポットと呼びます。舌癖(ぜつへき)とは、舌をスポット以外のところに置いていたり、舌で歯を押したり、歯で舌をかんだりする癖のことをいいます。
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主な治療、トレーニング方法
Zickfoose先生のMFT(Myo Functional Therapy)を中心に、そのほか矯正臨床に関わる機能的諸問題を改善するAT(Awareness Training)を行なっています。
出っ歯(上顎前突) 子どもの矯正
10歳女の子 出っ歯が気になり来院

Before

After
主訴 | 出っ歯が気になり来院 |
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診断名あるいは主な症状 | 出っ歯 |
治療期間・回数 | 約5年 |
年齢 | 10歳 女性 |
治療に用いた主な装置 | ホールディングアーチ、エッジワイズブラケット、SMC、バイオネーター |
治療費概算 | 約99万円です。(矯正治療は公的医療保険が適用されない自費診療です。) |
リスク副作用 | う蝕や歯肉炎・歯周病、歯根吸収、歯肉退縮 などのリスクがあります。 |
矯正装置の種類
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出っ歯(上顎前突)に使用する装置
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サービカルヘッドギヤー
上あごに力をかけることにより上あごの成長を抑制したり、下あごの成長をうながしたりします。奥歯を動かないようにとめておくのに使うこともあります。学校から帰って家にいる時(睡眠時含む)に使用し、使用時間は10時間が目安です。
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ハイプルヘッドギヤー
サービカルヘッドギヤーとほぼ同じ目的で使いますが、患者さんの骨格のタイプにより使い分けします。
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リンガルアーチ
奥歯を固定したり、細いワイヤーを付加して内側から歯を動かすのを助ける時に使用します。バリエーションがいろいろとあります。
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クォードへリックス・バイヘリックス
内側から歯列を左右に拡げたり奥歯のねじれを治すのに使用します。上顎に使用するのがクォードヘリックス、下顎に使用するのがバイヘリックスです。
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ホールディングアーチ
奥歯を固定する目的で使用します。バリエーションがいろいろとあります
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SMC
浜松市でご開業の鈴木善雄先生考案の大臼歯を3次元的に動かすことのできる用途の広い装置です。バリエーションがいろいろとあります。
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コイルスプリングを利用した装置
大臼歯や小臼歯を後ろに動かすのに使用します。
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パラタルバー
歯が下に降りようとする力に対抗してとめておく時に使用しますが、少し歯を動かすこともできます。バリエーションがいろいろとあります。(他の装置との組み合わせ)
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タングガード、拡大ねじ付きプレート
舌の癖を治すための装置で左右へ拡げることもできます。
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ウエッジ付きプレート
名古屋市でご開業の渡辺修先生考案の舌の癖を治すための装置で下の歯に着けます。とげが付いていないタイプもあります。また舌の癖が再発しないように保定装置として使用することもあります。
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エッジワイズブラケット
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メタル(金属)
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セラミック
(透明のゴムでワイヤーを留めたもの) -
セラミック
(カラーのゴムでワイヤーを留めたもの)
歯の表面に特殊な接着剤で付け、ワイヤーを通してその弾力で歯を動かします。
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矯正歯科治療に伴う
一般的なリスク・副作用- 1.最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 2.歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 3.装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 4.治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりする事が重要です。また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。
- 5.歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
- 6.ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- 7.ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 8.治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 9.治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 10.様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 11.歯の形を修正したり、噛み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
- 12.矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 13.装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 14.装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 15.装置が外れた後、現在の噛み合わせにあった状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
- 16.あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 17.治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる事があります。
- 18.矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻す事は難しくなります。
その他の装置
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